日本一鍋プロジェクト

日本一鍋は鍋の場のパワーを活用し、技術者、生産者などモノの作り手を支援するプロジェクトです。

ヒヨコから学ぶ、命を見守り感動をつなげる: 橋本めぐみさん (農業)

ヒヨコから学ぶ、命を見守り感動をつなげる: 橋本めぐみさん (農業)

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富山県の生産者さんや工芸作家さんたちを応援するシリーズです。

富山市の中山間地(農業がしにくい山の中のような平地ではない地域)で農場・土遊野をご両親と営む橋本めぐみさんを訪ねました。

どんな想いで、モノを作っているのか、その想いを聞いてきました。

とやまマリアージュとの連動企画。

食のイベント「富山week (2/18-23) & 富山ナイト (2/24)」

ここでは、めぐみさんが作った、お米、卵、ケーキ、パンがいただけます。

ヒヨコたちのおかげ

ピヨピヨピヨピヨピヨ。

生後4日(!)のヒヨコたちがトコトコ動き回る前で、めぐみさんにお話を聞きました。
「ピヨピヨ」という音を頭の中で流しながらお読みください。

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「成長段階を見られるんですよね」

「ヒヨコたちも、野菜たちも、ヤギたちも、小っちゃい時はかわいいですよね!」

ヒヨコたち、一生懸命動き回っています。
時にはこけたり、餌を探してついばんで、水をちょびっとだけ飲んで、
うーんと体を伸ばし … 見ていて飽きません。

雪の中のこの時期は、生命が生まれる時期。

ヒヨコがやってきて、夏に向けての野菜の苗を育成がはじまります。
ヤギももうすぐ子ヤギを生みます。

「ちっちゃな苗が一生懸命2枚の葉っぱを広げたりとか
子ヤギがフルフルって立ち上がる、感動ですよねぇ!」

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そんな小さな命から、力を感じる、感動を感じる、
こういった命の営みに触れられないのは考えられないと、
めぐみさんは言います。

めぐみさんのご両親は、都会から富山の中山間地に移り住んで来ました。

多くの富山県の若者がそうするように、めぐみさんも農業以外の選択肢を求め、
東京に住んでいたことがあります。東京暮らしでなかったもの、
それが、人間やペット以外の「本能」「命の営み」でした。

故郷から戻って以来、農業から得られる「感動」や「学び」のありがたさを
感じるようになったそうです。

「今の私があるのは、ヒヨコたちのおかげです。」

ありのままと山と人間の本能

めぐみさんがご両親と営むのが循環型の有機農業。
堆肥はニワトリのフンなどから作り、そこからお米や野菜を作ります。
ニワトリからは卵をいただきます。

極力、自然の力を使います。

生物の生育に大切なのは温度管理。
雪に閉ざされる時期は、ニワトリ、ヒヨコ、野菜の苗、
どれにも暖房が必要な時期です。

暖房に電気や石油などは使いません。
鶏糞や植物を発酵させて発生する熱を熱源として使います。

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「食べ物がどうやって作られるのか、知らないのはもったいないです」

ヒヨコたちもなるべく自然に近い形で飼育します。

工場のような現場で画一的に管理するのではなく、
生産者としては手間はかかるけど、
本来の動物や植物が自然な形で育っていきます。

こういう「自然の営み」に触れていると、
自然ってすごい!という感動に触れられる機会も増えます。

ヒヨコが懸命に動き回る様子、
やがて実を結んだトマトが見せる赤い色のグラデーション、
人間が例えコンピュータで再現しようとグラフィクスの技術を進歩させようとも、
自然は圧倒的で、超越的です。

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そういったものに触れるのが、人間の「本能」を喜ばすのでしょう。
もともと人間も本能にまかせる、ありのままでいれば楽しいです。
感動にもたくさん出会えます。

本能で生きる動物たち、植物たちとの触れ合いが、
私たちの本能を呼び覚ましてくれます。

本能に触れられる形で営まれる「農業」がここにあります。

食べ物が作られる様子を見届けられる場所がここにあります。

もともと人間は山の中の方を好んで住んでいました。
その方が食べ物の恵みにありつけたからです。
文明が進むに連れて耕作方法が作られ、交易をするようになって、
平地に移り住んで行きました。

山の方が「はじまり」なのです。

山の中でもしっかり「生きている」めぐみさんたちと動物、植物がここにいます。

「はじまり」に近い、本来の生き物としての人間の在り方により近い場所が
ここにあります。

とにかく、「生きている」が感じられる場所です。

つながりを感じて欲しい

「どっちがいい、悪いんじゃないですけどね」

めぐみさんは、こういう言い方を何回かしました。

町で暮らす人、山で暮らす人、どっちが優れているのではありません。
ただ、両方とも別々ではありません。

つながっているのです。

「このヒヨコたちもやがて、卵を産んでくれます。
それをみんなに届けられます。最後までつながっています。」

それを見届けられる場所です。

だからこそ、めぐみさんは想います。

「ここを見に来てほしい」

「ここに来て何かを感じてほしい」

おいしい、気持ちいいでもいいし、
こんなところで食べ物が作られて、それが町ともつながっていることが
実感できるかもしれないし、
小さな感動があるかもしれません。

いろんな生き物がいる、いろんな生き方がある、
それを感じられると、人は優しくなれます。

誰もが生き物です。
まずはヒヨコのように一生懸命生きていればいいのです。

土遊野は、そんなことを感じさせる場所です。

山間部なので、田んぼはいわゆる棚田になります。
棚田の周りの景色、富山一帯や天気がよければ遠くは立山連峰が見渡せ、絶景です。

土遊野にはこの絶景を楽しみながら、ここで採れた恵みをいただける
「絶景茶屋(仮称)」という茶屋が用意されています。

めぐみさんの夢の一つはここの茶屋で、訪れた人をおもてなしをすること。
茶屋に来るのが訪問のきっかけになれるかもしれません。

愛が生み出すもの: ヒヨコ、お米、そしてシフォンケーキ

めぐみさんが、ヒヨコを愛おしそうに抱き上げます。
「おいしい?楽しい?」ヒヨコに話しかけています。

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そこには小さな命への「愛」がありました。
そして、その姿に、すべての命への、愛とリスペクトを感じました。

めぐみさんが焼くシフォンケーキ。
ふんわり軽くていくらでも食べられます。

お米とともに通販でも購入できるので、
土遊野の恵みを町でも気軽に味わえます。

このケーキも、ここのヒヨコたちとつながっています。

ヒヨコがやがてニワトリとなり卵を産みます。
卵がケーキにたっぷり使われます。

このケーキはお米の粉でできています。
そのお米も、ニワトリの排せつ物が育てます。

そして、それらを育て、ケーキを焼くめぐみさんがいます。

これらが合わさって、ふんわりシフォンケーキができるのです。

いろんなものがつながって、富山の山の中と町がつながって、
いろんな愛が、ふんわり「おいしい!」を生み出すのです。

雪深い山の中。雪深く真っ白です。
とても静か。音、匂いが少ない世界。

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ホッとします。五感が何か研ぎ澄まされていく感じです。

富山の冬がめぐみさんの感覚を研ぎ澄まします。

そして、冬は次に何かを生み出すためのはじまりです。

土遊野には「感動」と「学び」があります。

ここへの入り口をどんどん広げていこうと、
育っていくものや自分の生まれた場所への愛とともに
「一生懸命」めぐみさんは生きています!

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