日本一鍋プロジェクト

日本一鍋は鍋の場のパワーを活用し、技術者、生産者などモノの作り手を支援するプロジェクトです。

2020年に「昔ながらの家」が作れなくなる??

2020年に「昔ながらの家」が作れなくなる??

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昔ながらの自然素材 (木、竹、土など)で家を作る建築家の日高さんと知り合いました。

話を聞かせていただき、自然の素晴らしさをそのまま利用する家作りの話の一端に触れられましたが、その内容に感動しました。

壁を作るために必要な竹を伐採するのですが、伐採の時期にこだわりがあるのです。 なんと、月の満ち欠けを見るんです。下限の月から新月にかけての時期を選びます。そうすると、カビにくい素材になるとのことです。

実はこれは「新月伐採」と呼ばれる古来からあるノーハウなんです。 竹に限らず、杉の木を伐採する時も同じです。

科学的には証明されていないですが、新月の時期の植物が水分を比較的含みにくくなるというのも関係しているようです。

森の中で生き、森の恵みを生活の糧にしていた日本人ならではの知恵です。

先日、古民家で日本一鍋をやりましたが、森の中、自然素材に囲まれていることが、なんとも心地よく、「日本に生まれてよかったなあ」と実感する時間を持ってました。ある意味、自分が日本人であることを誇らしく感じる瞬間でもありました。

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ところが、このような自然の素晴らしさを利用する建築によって新しい家を作ることが、2020年にできなくなってしまう恐れがあるというのです。

「2020年までに全ての新築・建築物に省エネ基準適合義務を課す。」という閣議決定があります。

日高さんによると、これが今のまま施行されると、自然素材での建築が実質的に作れなくなってしまうらしいのです。一方、「省エネ基準」を満たす方向で家を作ると、壁ばかりで窓の少ない家になってしまいます。実際に、今、そういった建築が流行っているのだそうです。

感覚的には、「おや?」「何それ?」という感じです。

夏ならば、風通しのいい家の方が過ごしやすく、冷房を稼働する時間も短くてすみそうです。冬ならば、木のぬくもりのもと、エアコン暖房はなくても大丈夫そうです。

数字での評価が人の感性や感覚を置き去りにすることがあります。数字は評価や比較を効率よく行う便利なものですが、計算の方法でいくらでも変わってしまうので、絶対的なものではありません。

モノ作りがコスト重視により、モノに込める「想い」に気付かない風潮があることに、通ずる話です。「想い」を受け止める側の感性が失われている方向にありそうです。

日高さんは自然素材の建築についての数値の出し方の研究を始めています。置いて行かれた感覚、感性を数字で表現するよう鋭意努力中です。

そんな取り組みも応援していきたいです。

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